もうひとつの恋
俺は慌ててそう答えながら、やっぱり美咲さんに似てきた気がすると小さくため息をついた。


「あ、そうなんだ?
ありがとね!

まだ健太行ったことないのよ」


俺の反応を楽しむようにそう言うと、彼女はクスクス笑いだす。


ちくしょー!


完璧、からかわれてるな?


今の状況を一変しようと、俺は少しだけ強めに勢いよく伝えた。


「そんなわけなんで、今週日曜日開けといて下さいね!動物園」


「えっ!?今週なの?
ずいぶん急だね」


そりゃそうだ。


そういう計画なんだから……


「健太とは前から約束してたんで、俺らの中では逆にやっとって感じなんですけどね」


するとさとみさんは俺が予想した通りの反応を見せた。


「わかった、じゃあ美咲にも連絡いれとくね?」

やっぱり……


そう言われるだろうとは思っていたけれど、そんなに俺と二人きりになりたくないのか……と少しだけヘコむ。


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