もうひとつの恋
苦笑しながら言うと、美咲さんもつられて笑う。


「まあそこまではわかってたことじゃない?

想定の範囲内ってことで」


まあ確かにそうだ。だからこそ、美咲さんに来ないよう頼んだんだから……


「で?どう?

リハーサルとかしちゃってるわけ?」


面白そうにそう言ってくる美咲さんは、やっぱり……悪魔だと思う。


「してませんよ……

ぶっつけ本番です」


「えぇ!あんたそれでちゃんと言葉出るの?

やっぱイメトレは大事だよ?」


いつになく真剣な声でそう言われて、イメトレしといた方がいいのかな?と急に不安にかられる。


「そう……なんですかね?

わざとらしくなると嫌だったんで、その時の素直な気持ちをそのまま伝えようと思ってたんですけど……」


「そんなんじゃ、思ってることの半分も言えないよ?

よし!わかった!

じゃあ手伝ってあげるから、私をさとみだと思って、愛の告白してごらん?」


< 168 / 432 >

この作品をシェア

pagetop