もうひとつの恋
えっ?何言ってんだ?この人……


俺が呆然としながら黙っていると、本当に心配そうな声でまた俺に話しかけてくる。


「いいから!

本番で緊張しないためにも、やっときなって?」


そんなに心配してくれてるなんて……と俺は感激して、彼女の要望をのんでみようと思った。


「わかりました!

じゃあ……よろしくお願いします!」


「わかればいいのよ

じゃあ、テイク1ね?

はい、言ってみて?」


「さとみさん……もう気づいてると思いますけど、俺、さとみさんが好きです!」


恥を忍んでそう言ってから、美咲さんの返答を待った。


「……」


あれ?


何も言わない美咲さんを不思議に思いながら、仕方なく彼女の名前を問いかける。


「美咲……さん?」


すると美咲さんはプッと吹き出したかと思うと、思いきりゲラゲラと笑いだした。


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