もうひとつの恋
今日のさとみさんの返事次第で、自分の何かが変わってしまう気がして、俺は少しだけ不安になる。


でも可能性は低いにしろ0じゃないはずだ。


悪い方にばかり考えてたらうまくいくものもいかなくなるかもしれない。


そう自分を奮い立たせて、コーヒーを飲み干すとキッチンにカップを置きに立ち上がった。


その時、携帯電話が震えた気がして、俺は慌てて机の上の携帯を手に取り通話ボタンを押す。


「はい!さとみさん?
もう着いたんですか?」


「桜井くん?おはよ
今、下に着いたよ」


俺のテンションが高いのがおかしかったのか、さとみさんはクスクス笑いながらそう言った。


俺は早く顔を見たくて「すぐ行きます」と短く返事をすると電話を切って玄関に急ぐ。


下に降りると、さとみさんが運転席から手を振っているのが見えた。


俺は急いで車に近づくと、さとみさんに声をかける。


「おはようございます!
あっ!俺、運転代わりますよ」


「ありがと

でも健太がたぶんお待ちかねだから、後ろに乗ってくれるかな?

運転は任せといて?」


「じゅんちゃん、こっちこっち!」


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