もうひとつの恋
俺はヒョイと健太を抱き上げて、そのまま肩の上に乗せてあげる。


急に目線が高くなり、ゾウの姿がしっかりと見えると、健太は興奮して足をバタバタさせた。


「見えるかぁ?健太!」


頭の上の健太に問いかけると「うん!」と嬉しそうに返事をする。


そんな健太を見て、俺に悪いと思ったのか、さとみさんが申し訳なさそうに謝ってきた。


「ありがとね?

重いのにごめんなさい!

健太!純ちゃん大変だから足バタバタさせないの!」


「あー、大丈夫っすよ
気にしないでください

健太も喜んでるし、俺もその方が嬉しいですから」


俺は健太を肩に乗せたまま、今度はキリンゾーンへと移動した。


「ママー、キリン!キリンがいる!」


頭の上で、興奮しながら健太が叫んだ。


こんなに喜んでくれると、つれてきたかいがあったなと嬉しくなる。


< 178 / 432 >

この作品をシェア

pagetop