もうひとつの恋
「わかりました

美咲さんの言うとおり、今日はもう寝ます

話聞いてもらえて少し楽になりました

あの……ありがとうございました」


珍しく素直になってそう言うと、美咲さんは照れように優しく俺に声をかける。


「桜井が素直だとなんか気持ち悪いなぁ

でもまあ今日は何もかも忘れてゆっくり寝て、明日ちゃんと仕事行くんだよ?

それで夜は思いっきり騒ごうね?」


それだけ言うと、俺の返事を待たないまま、さっさと電話を切った。


相変わらずマイペースな人だ。


フッと笑ってしまいそうになりながら、そのマイペースな美咲さんが、今日は俺にだいぶ合わせてくれてたことに気づく。


よっぽど俺が情けなかったのかもしれないな?


明日はあまり迷惑かけないように、楽しく呑めるように心掛けよう。


俺はそう思いながら、美咲さんの言う通り、そのまま眠りについた。


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