もうひとつの恋
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―――…
――…



そんな昨夜の経緯があったにも関わらず、俺は今、美咲さんに絡みまくって困らせている。


でも不思議と口では愚痴を言ってるものの、美咲さんが側にいてくれることで、昨夜ほど落ち込んではいなかった。


美咲さんがいてくれて良かったと思う。


たぶん他の誰にもこんなこと言えなかっただろう。


今後、さとみさんや健太に会うときにも、美咲さんがクッションになってくれるに違いない。


皮肉なもんだな?


あんなに美咲さんを邪魔に思ってたのに、今はいてくれることがありがたいなんて……


頭がグラグラしながらも、意外と意識はしっかりしていて、くだを巻きながらそんなことを考える。


美咲さんはそうとは知らずに、本気で俺を心配しながら、帰らせようと横でワイワイ何か喋っていた。


彼女の声を遠くで聞きながら、それがとても心地よくて、知らず知らずに瞼が下がってくるのを感じる。


それと同時に、徐々に美咲さんの声が聞こえなくなっていった。


そして気づいた時にはもう……


俺はすっかり夢の中にいたんだ……



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