もうひとつの恋
そのとき急に部屋のドアがガチャッと開いて、誰かが入ってくる。


そこには見慣れた顔が立っていて、俺に笑いかけた。


「おはよ、桜井

お目覚めはいかが?」


「――ッ!」


は?なんで……美咲さんが!?


俺はますますパニックになって、美咲さんの方を向いたまま、固まってしまう。


すると美咲さんは、そんな俺を見て、めんどくさそうに呟いた。


「あんた、今日仕事でしょ?

一回帰んないと、やばいんじゃないの?

とりあえず朝食だけ作ったから、食べたら帰ってシャワー浴びてから仕事行った方がいいよ?

相当、酒臭いし……」


普段通りの口調でそう忠告されて、俺はやっとここが美咲さんの家だということに気づく。


「あの……えっと……

俺……なんで美咲さんちにいるんですかね……?」


ハハッと動揺しているのを誤魔化すように笑いながら、そう美咲さんに問いかけた。


「はぁ?

あんた……もしかして覚えてないの?」


呆れたようにそう言って、美咲さんは俺をギロリと睨む。


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