もうひとつの恋
そして俺はそのことをまだ、さとみさんにも美咲さんにも告げられずにいた。


「それにしてもバツ2で部長に昇格できるなんて、大沢部長すごいっすね?」


普通に話すようになったとはいえ、完全に許したわけじゃない俺は、どうしても憎まれ口を叩いてしまう。


嫌味を言われていることに気づいたのか、課長も負けずに反撃してきた。

「お前ね、そんなこと言ってるけど、自分はどうなんだよ?

好きな女とかいないのか?」


今、その質問ははっきり言って辛い。


それが課長に聞かれるならなおさらだ。


俺はあえて誰とは言わずに、なげやりな感じで答える。


「いたんですけどねぇ?

あはは……こないだあっさりフラれちゃったんですよ」


課長は驚きながらも、悪いことを聞いたと思ったのかだんだん声が小さくなっていく。


「えっ!?そんな相手がいたのか?

しかもフラれたって……」

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