もうひとつの恋
自宅へ帰る途中、弁当やビールを買って帰ろうと、近くのコンビニに寄り道した。
大学を出てから、会社に比較的近いアパートに一人で暮らしているため、基本弁当か外食が多い。
栄養のバランスが悪いことは重々承知しているけど、それでも疲れて眠る方を優先してしまう。
食料を買う前に雑誌を少し立ち読みしていると、ポケットの携帯が震えた。
着信欄を見て、俺は思わずため息をついた。
出ないわけにもいなかいか……
仕方なく通話ボタンを押し、電話の向こう側の相手に話しかける。
「はい……もしもし?」
すると間髪入れずに無駄に明るい元気な声が聞こえてきた。
「あっ!純ちゃん?
今どこ?
結衣、ご飯作って待ってるんだけど」
はぁ……と彼女には聞こえないように、またため息をつく。
「来てたのか……
わかった、今、コンビニだからすぐ帰るよ」
諦めてそう伝えると、結衣の返事を待たずに通話終了ボタンを押した。