もうひとつの恋
「それって……それってぇ!

あれすか?

もしかしてぶちょお……

まださとみさんのこと未練あるってことすか?」


本当は、そんなこと言いたくもなかった。


そんな課長の思いなんか知りたくもなかったのに……


さとみさんのことを考えると確かめずにはいられない。


「ちょっ!そんなに睨むなって!

怖いよ……お前……

飲み過ぎ!」


そう言ってはぐらかそうとする課長を俺は許さなかった。


ここできちんと課長の気持ちを聞いておくことで、自分の気持ちにもけじめがつけられる。


それに今後、課長とどう接していくのかも、その答えによって変わってくるだろう。


「ごまかさないでください!

まだ、さとみさんのこと忘れられないんですか?

愛してるんですか?

ちゃんと答えてください!」


愛してるって言われたら……


俺は結局この二人の絆に負けたってことなんだろうか?


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