もうひとつの恋
「ああ……うん、まあな?

2回目の結婚も子供のためにしたようなもんだし……

さとみがどれだけ俺のことを大切に思ってくれたか……違う女と暮らしてみて、よくわかったよ……」


さとみが俺をどれだけ大切に思ってくれてたかだって……?


違う女と暮らさなきゃわからないほど、彼女に愛されてることが当たり前になってたってことかよ……


さとみさんはいつだって課長を大切に、大事に思ってた。


そんなことは端から見てた俺にだって一目瞭然だったのに……


俺には向かなかったその思いを一身に受けながら、課長は彼女の深すぎる愛に溺れてもがいていたって言うのか。


悔しくて涙が出そうになりながら、それでもさとみさんのために課長の口から本心を引き出さなきゃと思う。


「……のろけですか?

さとみさんがぶちょおをすごく愛してたって言いたいんですよね?

それのろけですよね!?

そんなことは聞きたくないですよ!

ぶちょおがさとみさんをどう思ってるのか聞いてるんです!」


課長の顔ギリギリの所まで自分の顔を近づけて、思いきり睨み付けながら、大声で叫んだ。


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