もうひとつの恋
「何言ってんの?

若者のくせにジジ臭い……

ネットのが他の人の評価とかも見れるし、いいに決まってんじゃん」


全然引く様子もなく、俺をバカにしたようにそう言うと、頼んであった串焼きに手をつけ始めた。


俺はすでに戦意喪失していて、美咲さんの意見にお任せしたいと思ってしまう。


でもなんとなく、もっと構って欲しいんじゃないかって気がして、わざと挑戦状を叩きつけた。


「じゃあ今度、どっちが先にいい場所を見つけられるか、さとみさんに判定してもらいましょうよ」


美咲さんはニヤッと笑うと、受けて立つというように親指を立ててそれに同意した。


美咲さんが喜んでくれたような気がして、なんだか不思議な気分になってくる。


なんだろう?


少しくすぐったいような、なんともいえない感情に俺は戸惑った。


さとみさんへの思いとは違う。


けれど、確実に今までとは違う目線で美咲さんを見るようになっていたことを、俺はまだ自覚していなかった。



< 223 / 432 >

この作品をシェア

pagetop