もうひとつの恋
「そうそう、健太！
みいちゃんも知ってるんだよぉ
そのおじさんのこと！」


美咲さんも調子に乗っておじさんを強調しながら、健太にそう話す。


それを聞いて健太は、さっきの緊張した様子はなくなり、いつもの元気な健太に戻りつつあった。

「なんだぁ、そうだったんだー

じゃあみぃんなおともだちなんだね！」


健太は嬉しそうにそう言ってまた俺の方に駆け戻ってくる。


それから俺の手に自分の手を絡ませてキュッと握った。


それを見ていた美咲さんも、もう片方の健太の手をつなぐ。


三人の姿は端から見たら、まるで親子のように見えるのかもしれないなと思う。


さとみさんと部長がよりを戻したとしても、健太や美咲さんといるこの時間がなくなるわけじゃない。


今まで通り……いや、今まで以上にこの関係を育んでいきたい。


部長がただ一人、その中に加わるだけだ。


二人の関係を一生懸命認めようと、俺は必死だった。


だからその時、部長が大きな勘違いをして、さとみさんを追い詰めていたことに俺は全く気づいてなかった。


二人仲良く今後のことをゆっくり話しているんだとばかり思っていたから……


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表紙・目次

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