もうひとつの恋
「さとみさんに言われたんですよ

さとみさんが……

一度だけ電話くれたことがあって……その着信が残ってたから……

俺、心配で電話したんです

そしたら……俺のことだから部長と険悪になってるんじゃないかって心配してて……

これまで通りいい部下として部長と接してほしいって……頼まれたんですよ

さとみさん……いつでもそうやって自分のことより部長のことを心配して……

そんなさとみさんを放っておけなかったんです

だから……部長とは今まで通り接するかわりに、さとみさんとこれからも連絡取らせてくれって……

何かあったらサポートさせてくれって……交換条件出したんです」


ようやくさとみさんと知り合ったきっかけを話し終えると、部長は何か言いたげな顔をして俺の顔を見た。


でも敢えてそれには気づかないふりをして、俺がどれほどさとみさんや健太を大切に思っていたかを伝える。


「いろいろあって、健太が生まれて、俺は引っ越しとか就職先とか、何かあるたびに手伝わせてもらってたんです

4年経った今……健太もなついてくれてるし、俺……本気でさとみさんと一緒になりたくて……

結婚……申し込んだんですよ……俺」


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