もうひとつの恋
「じゅんちゃん!じゅんちゃん!ねぇ、ママどこ行ったの?」
さとみさんと部長が二人で話し合いをすることになり、俺と美咲さんとで健太を預かることになっていた。
いつものメンバーが揃っているのにママだけがいないことに、健太は不思議そうな顔をしながら俺に聞いてくる。
俺は健太が不安がらないように、にっこり笑うと優しく答えた。
「こないだ一緒に水族館行ったおじさんいただろ?
ママはあのおじさんとお話があって、今日は出掛けたんだよ」
健太は一瞬考えて、思い出したように言った。
「みんなとおともだちっていってたあのおじさん?」
「そうそう!
そのおじさん
よく覚えてたな?健太!」
そう言って健太の頭をクシャクシャッと撫でると、嬉しそうに笑った。
たぶん、今日の話し合いで二人はお互いの気持ちを確認しあうだろう。
近いうちに復縁することになるかもしれない。
そろそろ健太にも話しておいた方がいいのかもしれないな……