もうひとつの恋
そっか、今はやっぱりいないのか……


あれ?俺、なんでこんなに気にしてんだろ?


「いやぁ、美咲さんもいい歳なんで、ちょっと心配になったんですよ

人の心配してる場合じゃないんじゃないかって……」


そう……俺はただ純粋にそう思っただけだ。


だけど美咲さんは俺の言葉に少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。


いつものように怒って言い返してくると思っていた俺は、拍子抜けしてしまう。


「美咲さん……?」


不思議に思って声をかけると、美咲さんはハッとして俺の顔を見た。


「あはっ…あははっ……

そうだよね?もういい歳なんだし、そろそろ見つけなきゃだよね?」


明らかに動揺しながらそう話す美咲さんに、俺はもしかしたら彼女を傷つけてしまったのかもしれないと不安になる。


どう謝ろうかと目を泳がせながら考えていると、美咲さんはもうすでに元気を取り戻していた。


「どうでもいいけどさ

あんただってさとみに片思いしてた三年間、彼女いなかったんでしょ?

だったら私と変わんないじゃない!

だいたい振られたんだし、あんたこそ三十になる前に彼女作った方がいいんじゃないの?」


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