もうひとつの恋
うーん、気持ちいい陽気だなぁ……
動物園日和……か。
畳にゴロンと寝転びながら、両手を大きく上げて伸びをする。
今日は日曜日――
久しぶりに昨日から、実家に帰ってきていた。
「じゅーん!ご飯よー!」
部屋でゴロゴロとしていた俺に、母親が呼び掛ける。
どうやら昼飯が出来たようだ。
「あぁ、今行く!」
そう返事をしてもなお、俺はまだ起き上がれずに、畳に寝そべったまま窓の外を見ていた。
雲ひとつない青空が広がって、心地よい風が体をくすぐっていく。
うまく……やってるかな?
考えたくないのに、こうしていてもあの二人の事が頭に浮かんでしまう。
今頃、部長とさとみさんと健太の三人は、上野動物園にパンダを見に行ってるはずだった。
俺が健太を連れてった時は、まだパンダはいなかったっけ。
健太……喜んでるかな?
見たことのないパンダをきっかけに、部長とも仲良くなれたらいいんだけど……