もうひとつの恋
今さら結衣の話をされても困る。


そう思いながら、母親っていうのはこうもうるさい存在だっただろうか?とげんなりした。


「もうずいぶん前の話なんだし、そんなこと母さんには関係ないだろ?」


おもいっきり迷惑そうにそう言ったのに、母親というのはめげることを知らないらしい。


「関係ないって、あんたねぇ!

お母さんだって早く孫の顔見たいのよ!

お隣の裕也くんなんか、今度二人目が出来るらしいわよ?

結衣ちゃん可愛かったし、あんたのこと大好きって感じだったんだから、お願いしてより戻したらどうなの?」


おいおい……


なんでそんなことまで母親に指示されなきゃなんないんだよ……


仕方なく俺は、母を黙らせるために結衣はダメなんだってことを説明した。


「あのね、母さん

結衣は俺と別れてしばらくしてから、他の人と結婚したんだよ

だから母さんが思ってるようにはならないから」


母は本気でガッカリしたように、文句を言い始めた。


< 266 / 432 >

この作品をシェア

pagetop