もうひとつの恋
ははぁ、そういうことか……


最初からそれが目的だったに違いない。


まったく……おせっかいもいい加減にしてほしいと思う。


「いや……実はさ……

俺、好きな人がいて……

結論から言うと振られてるんだけど

でもまだ他の人に目が向かないっていうか……

まだそんな気持ちになれないんだよ

だから悪いけど……」


そこまで言ったところで、母が遮るように口を挟んだ。


「だったら!その人忘れるためにも会ってみるのもいいかもよ?

もしかしたら話が合ったりするかもしれないし……

ねっ?一度会ってみなさい!

私から先方にはお願いしておくから」


人の話聞いてんのかよ……


あまりの勢いに圧倒されて、俺は何も言えなくなる。


それと同時に母を説得するのが、だんだん面倒になってきた。


一度会ってみて断ればいっか……

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