もうひとつの恋
「わぁ!買ってきてくれたの?

ありがとう!

美味しそう!

どっちにしようかなぁ?」


モンブランとチーズケーキを前にして、本気で悩んでる結衣を見ながら、可愛いと思ってしまっている自分に気づく。


「どっちも食べていいよ」


そう言ってあげると、ほんと!と顔をクシャクシャにして喜びながら、今度はどっちから食べようかと悩んでいる。


このまま結衣と付き合ってた方が幸せなのかもしれない。


そんな思いが頭をかすめた。


でも……それは俺にとって都合のいい付き合い方であって、結衣のためにはならない、とも思う。


彼女を思うならきちんとけじめをつけなければ……


目の前で嬉しそうにケーキを頬張る結衣を見ながら、俺は彼女が食べ終わるのをじっと待った。


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