もうひとつの恋
ホッとしながら、仕方なく俺はその相手の情報を聞き出す。


「で?相手は何て名前なの?

それと場所は?」


全然興味はないけれど、会うからには名前くらい聞いておかないと……


母は俺の思いとは逆に、乗り気になったと思ったようだ。


そしてまた目をキラキラさせて、彼女について語り始める。


「小嶋穂香さんて言って、27歳のお嬢さんなの

有楽町で販売の仕事してるんだって

一度会ったことあるんだけど、控えめで清楚なお嬢さんよ?

お母さん、おすすめ!」


もうすっかり結婚するかのようなテンションの上がりように、逆に俺のテンションは下がりっぱなしだった。


「わかった、わかった

じゃあ直接連絡したいから、携帯番号とか教えてもらえるか聞いといて?」


とりあえず親の干渉から逃れるために、俺は直接コンタクトをとろうと試みる。


母はますます喜んで、すぐに彼女の番号を聞き出して、俺に教えてくれた。


俺はそれを携帯に登録すると、横で興奮する母を尻目に、小さくため息をつく。


来週の日曜日か……


俺は憂鬱になりながら、帰ったら美咲さんに相談してみよう……と心の中で思った。



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