もうひとつの恋
「あの二人を会わせようって思った時から、とっくに諦めてはいるんですけどね?

でももう部長の口からさとみさんの名前が出ても、なんとも思わなくなりましたからね

俺もやっとさとみさんから卒業出来たみたいですよ?」


美咲さんはそんな俺をすごく喜んでくれた。


いつまでもさとみさんを思う俺を間近で見ていただけに、感慨深いものがあるのかもしれない。


「そっかぁ!

桜井!卒業おめでとう!」


なんだかんだで茶化してくる美咲さんにはもう慣れっこだけど、この喜びようはいったい……


「美咲さん……

喜びすぎじゃないですか?

まあ確かに新しい恋でも探さなくちゃなぁって思えるとこまで回復しましたけど…」


「まあまあ!気にすんなって!

そうかぁ、新しい恋まで見つける気になったのかぁ

良かった!

あの二人にいつまでも振り回されてたら、もしかしたら近くに恋の予感があっても気付かないかもしれないしね?」


そう言われて俺は、美咲さんに相談したいことがあったのを思い出す。


「そうだ!美咲さんに相談したいことがあったんですよ

聞いてもらえます?」


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