もうひとつの恋
美咲さんは満面の笑みで、それを快く引き受けてくれた。


「もちろん!

なんかさとみ以外のことで、相談乗るなんて初めてじゃない?

なんかワクワクするなぁ」


なんか、また面白がってる気がする……


やっぱり美咲さんに相談するのは間違いだったかな?


そう思って、話すのを少しだけ躊躇すると、美咲さんが待ちきれないといった様子で、俺を急かす。


「で?何よ?

お姉さんが聞いてあげるからなんでも言っちゃって?」


嬉しそうだなぁ……


まあいっか、とりあえず話してみよう……


「いや……実は、こないだの土日で久しぶりに実家に帰ったんですよ

そしたら俺のお袋が、なんで彼女いないんだって騒ぎだして……

今はまだそういう気にならないって言ったんですけど、自分の友達の娘さんに一度会ってみないかって言われて……

断ったんだけど、全然聞いてくれなくて、今度の日曜に銀座で会うことになっちゃったんですよね

どう思います?美咲さん」


俺は軽いノリで、そう話したのに……


――あれ?美咲さん?


さっきまでのふざけた調子とは裏腹に、沈んだ顔をして何かをじっと考えてる。


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