もうひとつの恋
心配そうにそう聞かれて、さとみさんに相談してみようか……という気持ちになる。


さとみさんなら、彼女が俺と連絡を絶ってる理由を知ってるかもしれない……


だけどあの美咲さんが、さとみさんに相談するだろうか?


今まで散々、人の相談にばかり乗ってきた彼女が、自分のことで誰かに相談する姿が想像できなかった。


美咲さんはああ見えて、かなり照れ屋だし、素直じゃないし、姉御肌なところもあるから、あまり人に弱味を見せないんじゃないだろうか?


「桜井くん?」


いろんな思いが頭を駆けめぐって、俺はまた知らず知らずのうちに黙りこんでいたようだ。


さとみさんに呼ばれてハッとしたものの、どう切り出していいのか迷う。


だけどこのまま黙っていても、さとみさんを心配させるだけだ。


俺はとりあえず、昨日の美咲さんの様子を聞いてみることにした。


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