もうひとつの恋
この間、美咲さんと二人で呑んだこと。


最初はものすごく機嫌が良かったこと。


母に紹介された女性に会わなければいけなくなったこと。


そのことを相談したら、急に帰ると言い出したこと。


そして……次の日から美咲さんと連絡が取れなくなったこと。


全てを話し終えて一息つくと、さとみさんがどう思ったのか言ってくれるのを待った。


じっと聞いてくれていたさとみさんは、何かを考えているように黙っていたけれど、ようやくゆっくり口を開く。


「それ………ヤキモチなんじゃないかな?」


――えっ!?


ヤキモチ……?


「まさかぁ、あの美咲さんですよ?

確かに美咲さんのことは俺だって好きですけど、そういう恋愛感情とは違うんじゃないですかね?」


「だってその状況ってそれしか考えらんないもん

私がこんなこと言うのも変だけど、今までは桜井くんが私を思ってくれてたから、応援してくれてたんだと思う……

だって美咲……

最近は私のことより桜井くんの味方だったんだよ?

あいつの気持ち考えろって、健のことウジウジ言ってたら怒られたくらいだし……」


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