もうひとつの恋
「じゃあまだ私にもチャンスがあるってことですかね?

気になる彼女に性格も似てるみたいだし、もしかしたら私のこと好きになる可能性もあったりして」


やっぱりそういう期待なしに友達になることは難しいんだろうか?


俺は友達になることを受け入れてしまったことを今更ながらに後悔する。


「いや……それは……ない……かな?」


たどたどしくもはっきりと否定すると、今までニコニコしていた彼女があからさまにガックリと肩を落とした。


そうだよな?やっぱりそういう反応になるよな?


「やっぱり、友達になるっていうのは無理なんじゃないかな?」


だから俺はそう聞いてみたんだけど……


彼女は慌てた様子で、一生懸命言い訳を並べ立てた。


「ちょっと待ってください!

冗談ですって!

確かにそう簡単に恋心は消えないかもしれませんけど、でももしこれからずっと私を振り向いてくれなくても、私は友達として桜井さんの側にいたいです」


そんな風に懇願するような目で見られると、俺は自分まで辛い気持ちになってしまう。
< 318 / 432 >

この作品をシェア

pagetop