もうひとつの恋
「はぁぁ……」


胸のモヤモヤを吐き出すように、俺は大きな溜め息をつく。


それからさっき見た映像を追い払うかのように、頭を左右にブルブルと振った。


駅について改札を通り、早足でホームに向かう。


あと一歩というところで、俺の目の前で扉は閉まり、ついてない一日を象徴してるみたいだった。


俺は仕方なくベンチに腰かけると次の電車を待つことにする。


今朝、テレビ番組でやっていた星占いでは、確かそんなに悪い順位ではなかったはずだ。


まあ星占いなんて当たった試しがないけれど……


ブブブブッ……ブブブブッ……ブブブブッ……


急に携帯のバイブが鳴り出して、俺は慌てて携帯を開いて電話に出た。


「もしもし……」


俺がそう言うと、電話の相手が元気な声で俺の名前を呼ぶ。


「もしもし?桜井くん?今どこ?」


この声はさとみさんだ。


きっと俺が美咲さんの自宅の場所を聞いたから、仲直り出来たのかどうか聞きたいといったところだろう。


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