もうひとつの恋
もう用がないなら電話を切ろうと思い、口を開きかけた時、彼女が静かに呟いた。


「嘘ですよね?」


「へっ?」


俺は突然言われたその言葉の意味がわからずに、変な声をあげてしまう。


「嘘ですよね?

さっき言ったこと……

彼女を祝福するなんて、なんでそんなこと言うんですか?」


「嘘じゃないよ

ほんとに彼女を祝福す……」


「嘘!!

じゃあなんであんなに声震えてたんですか?

そうじゃないって言ってるように、私には聞こえました!

まだその人が彼女の何なのかわからないでしょ?

戦う前から諦めないでください」


何……言ってんだ?


なんで俺のためにこんなに必死になって……


「戦うってなんだよ?

俺、別に戦うつもりなんかないし、それになんで小嶋さんがそんなに必死になってんの?」


「好きだからです!

私が告白した時、桜井さん言いましたよね?

気になってる人がいるって……

その時の桜井さんからは、彼女を大切に思ってることがすごく伝わってきました

だから諦めたのに……

じゃあ彼女のことなんとも思ってないなら、私と付き合ってもらえますか?

気になる人がいないなら、お試しに付き合ってみてもいいですよね?」


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