もうひとつの恋
ははっ、そんな先の事まで考えてたのかこの人は。


それでお袋の印象を気にしてたってわけか。


まったく、しっかりしてるというか、ちゃっかりしてるというか……


正直、美咲さんを好きだという気持ちにだって最近気付いたばかりなのに、結婚までは考えてなかったけど。


でも、うん……


彼女と二人なら結婚生活も悪くないかもしれない。


「美咲さんが俺と結婚したいっていうなら、いつでもプロポーズ受けますよ?

それにうちの母親は、俺に相手がいないから、どっかからか探してきただけで、俺の選んだ人なら文句言わないですから」


ニカッと笑ってそう言うと、美咲さんはプルプルしながら鬼の形相で言った。


「なんで、私があんたにプロポーズしなきゃなんないのよ!

普通、そういうのは男からするもんでしょ!?」


「いや……だって美咲さんが付き合うなら結婚しなきゃやだって言うから……」


わざとそう言うと、美咲さんは耳まで真っ赤にして反論してくる。


「そっ、そういう意味じゃないから!

あたしの歳だとそういうことも含めて考えるもんじゃないかって一般論よ!」


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