もうひとつの恋
なんていうんだろう?


好きなんだけど、まだ姉みたいな感覚が残っていて、欲情することがなんとなく悪いことみたいな……後ろめたい気持ちになる。


あの時……


お互いの気持ちを伝えあったあの時……


俺は確かに美咲さんに欲情したし、このまま離したくないとも思ったはずなのに……


あまりにも今までと変わらなさすぎて、あれは夢だったんじゃないのかとさえ思ったりもする。


「出来たよー」


焼きそばを盛った皿をテーブルに運ぶ美咲さんの顔を、わざとじっと見つめてみる。


美咲さんは、俺と目が合うと、ポッと顔を赤らめて俺から目線を外した。


うん、こういう反応を見ると、やっぱり俺達付き合ってるんだな……と思える。


「いただきます!」


とりあえずそう言って食べ始めると、やっぱり美咲スペシャルは旨かった。


「旨い!やっぱり美咲さんのやきそばは最高ですね?」


美咲さんは嬉しそうに笑って水を一口飲んだ。


「こんなんで良ければいつでも作るよ?」


そんな風にはにかむ美咲さんを見てると、幸せな気持ちになる。


彼女が笑顔でいてくれると、俺まで笑顔になれる気がした。


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