もうひとつの恋
コーヒーを飲む音だけが響いて、なんとなく手持ちぶさたな感じになる。


美咲さんをちらっと見ると、彼女もまたそんな風に思っているように見えた。


昔なら黙ってても美咲さんがポンポン話題を振ってきて、沈黙なんてなかったのに……


お互いを意識したせいで、普段らしさみたいなものが今はなくなってしまったんだろうか？


俺はそんな悩みを、先日かかってきた小嶋さんからの電話で、ついうっかり喋ってしまっていた。


「相変わらず桜井さんて私には直球ですね……」


少しうんざりしたようにそう言った小嶋さんだけど、いつも的確なアドバイスをくれるだけに、俺はなんとなく何でも正直に話してしまう。


なんだかんだ言いながら、俺の相談に乗ってくれる彼女の存在は、今ではとても重宝しているのだ。


「いや……悪い……

なんか小嶋さんにはいつも相談に乗ってもらってて、ほんと助かってるんだよ……

なんて言うか……

美咲さんに似てるから気持ちもわかるみたいだし……」


「まあ桜井さんが、私を友達として認めてくれたってことなら、いんですけど……

まさか、どうやったら甘い雰囲気になるかだなんて、そこまで聞かれるとは思ってなかったんで」


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