もうひとつの恋
肩で息をしながら、悲しそうな目で見つめられて、俺は何も言えなかった。


何も与えてやれない自分の不甲斐なさを認めたくなくて、せめて体の繋がりを持つことで、美咲さんが自分のものだと確認したかったんだと気づく。


そんな俺の様子を美咲さんは敏感に感じ取ったに違いない。


拒まれて当然だ……


俺は肩を落としながら、「ごめん……」と一言だけ謝った。


「どうしたの?

あんたらしくないじゃない

海外旅行の話がそんなに嫌だった?」


そんなことで俺が嫉妬してるなんて、きっと美咲さんは一ミリも思ってないんだろう。


俺の行動が腑に落ちないような顔をして首を傾げてる。


「や……あの……

イタリア人の元カレなら、いつでも海外に連れていってあげたんだろうなと思ったら……

なんか……俺、美咲さんに相応しくないんじゃないかって不安になって……」


仕方なく隠さず本音を伝えると、美咲さんは一瞬驚いたように目を丸くしてから、すぐにフッと優しく微笑むと、俺の顔を両手で挟みながら、おでことおでこをコツンと合わせる。


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