もうひとつの恋
「美咲さん……怒ってる?」
「……」
何も言わずに何かを考えるようなそぶりを見せる美咲さんを見て、俺は頭を抱えていた。
「ほんっとすいません!
いや……あの……すげぇ久し振りだったから……
そんなの言い訳にもなんないんだけど……
気持ちよすぎて間に合わなかったというか……」
そう、俺は久々の営みに自制心が効かなくて、美咲さんの中で果ててしまったのだ。
もし、妊娠なんてことになったとしても、俺は美咲さんと付き合う時から結婚は視野に入れていたし、特に問題はないんだけれど……
美咲さんは自分の体のことだけに心の準備も必要だったかもしれないと、自分の失態を呪いながら必死に謝っているところだった。
「あ……あぁ……
うん、大丈夫……
気にしないで?」
ぼんやりとそう口にする美咲さんは、とてもじゃないけど大丈夫って顔じゃなくて……
俺は焦りながら彼女を安心させようと試みる。
「もし、妊娠したとしても、俺ちゃんと美咲さんと結婚して一緒に育てますら……
だからあんまり悩まないでください」
俺は精一杯、美咲さんへの気持ちを語ったはずだった。
それなのに……
「別に責任感じて無理して結婚とかしなくていいから
私、一人でもちゃんと育てるし」