もうひとつの恋
「美咲さんは俺のこと好き?」


俺の気持ちばかり疑う美咲さんに、お返しの意味で聞いてみた。


後ろからでもわかるくらい、耳も首筋も赤く染めて、彼女は恥ずかしそうに俯く。


「だって俺ばっかり好きだって言わされて、美咲さんの口からはっきり聞いたことないから、俺だって不安ですよ」


わざと意地悪くそう言うと、しばらく固まっていた美咲さんは、観念したように息を吐く。


「好き……だよ?」


それから恨めしそうな顔をして俺を振り返ると、ブツブツと文句を言い始めた。


「なんかさぁ、おかしくない?

さとみの時と、全然違うじゃん」


「違うって……何が?」


だいたい違うって言われても、さとみさんにはフラレてるわけだし、美咲さんとは立場が違うと思うんだけど……


「違うでしょうが!

さとみの時は、いつもかっこよく“さとみさんと健太は俺が守りますから”みたいな感じだったのに、私には“俺のこと好き?”なんて甘えてきて……

それってどうなのよ!?」


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