もうひとつの恋
「はじめまして!

私、杉浦結衣って言います

えっと、純ちゃんとはその……

まあいっか、元カノです」


テヘッと舌を出しながら、ぶっちゃけすぎにもほどがあることをサラッと言い放って、美咲さんの出方を待つ結衣に、俺は心底うんざりした。


さっきまで固まったまま、俺と結衣のやり取りを聞いていた美咲さんは、その挨拶にピクッと反応したかと思うと、たちまち余裕の笑みを浮かべ結衣を見つめている。


「はじめまして

桜井くんとお付き合いさせていただいてます、山口美咲と申します

杉浦さん……でしたかしら?

桜井くんの昔のお知り合いだったんですね?

よろしくお願いします」


そう言ってにっこり笑った美咲さんの目はまったく笑っていなかった。


やばい……


完全に怒ってる。


俺はなんとかこの場を収めようと、口を開きかけた。


けれどそれは叶わぬまま、結衣の言葉に遮られることになる。


「うわぁ~、よく見るとすごい綺麗な人なんだね?

純ちゃんたらやっぱり面食いなんだから

歳上が好きだとは知らなかったけど」


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