もうひとつの恋
課長はホッとしたように椅子に体を預けて、大きく息を吐いた。


「優しい奥さんですね?

俺も挨拶しに行っていいですか?」


そう聞いてみると、課長は特に気にした様子もなく「あぁ、別にいいけど」と答えた。


内心やった!と思いながらも、顔には出さないように気を付ける。


俺は奥さんが到着するのを、さっき頼まれた資料を作りながら待つことにした。


しばらく資料作りに没頭していると、ふいに内線が鳴って受話器を取った。


「はい、営業企画課です」


電話の向こうからは、思った通り受付の女の子の声が聞こえてくる。


「こちら受付ですが、大沢課長の奥様がご面会にいらしています」


来た!


そんな胸の高鳴りを抑えて、大沢課長に伝えた。


「課長!奥さんが見えたみたいですよ!」


「結構早かったなぁ

すぐ下に行くって伝えてくれる?」


「わかりました!」


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