もうひとつの恋

そう言って握手を求める結衣を美咲さんは意外にもすんなり受け入れた。


それからにっこり微笑むと、結衣に言い返す。


「私も気に入ったわ

そのふてぶてしい態度も、挑戦的な物言いも、嫉妬だったと認める潔さもね？」


そう言った美咲さんは今度は本当に笑っていた。


美咲さんも充分挑戦的だけどと思いながら、とりあえず和解してくれたことにホッと胸を撫で下ろす。


「じゃね？純ちゃん！

邪魔しちゃってごめん

幸せになってよね？」


俺の肩を思いきり叩きながらそう言った結衣の顔は少しだけ寂しそうに見えた。


「あぁ、結衣も幸せにな？

つーかお前はもう幸せだろ？」


笑いながらそう言うと、結衣はまあね、と言いながら恥ずかしそうに笑う。


それから美咲さんの方に向き直ると、ナイショ話をするように何か耳打ちをした。


するとその瞬間、美咲さんの顔が一気に赤くなる。


結衣はしてやったりみたいな顔で、そのままバイバイと俺たちとは反対方向に元気よく走り去っていった。


呆然とする俺と、真っ赤な顔をした美咲さんを残して……