もうひとつの恋
「……わかった」


「ん?」


「あたし…頑張ってみる……」


「大丈夫…俺もついてるから

一緒に頑張ろ?」


「……うん」


俺の胸の中で小さくそう返事した美咲は、もぞもぞと動いて顔を上げる。


「どした?」


優しくそう言って微笑むと、彼女もまた涙で濡らした顔に笑みを浮かべた。


「ありがと……純

あたし、頑張れそうな気がしてきた」


そんな風に言ってくれた彼女が愛しくて、俺はもう一度美咲の体をギュッと抱き締めた。


「ちょっ!苦し……んんっ」


逃げようとする彼女を捕まえて、今度は深く口づけた。


暴れていた彼女の腕が、だんだん力なく下ろされて、俺のキスを受け入れてくれる。


それに気をよくした俺は、美咲の体をそのままソファーに横たえた。


腰に手を回しグッと引き寄せると、彼女が急に身動ぎだした。


「純ちゃん!ちょっ、待っ!」


「何で?今日は萌音もいないんだし、久しぶりにいいでしょ?」


いつもは純と呼ぶ彼女がちゃんをつけるとき、それは照れてる証拠だ。


わかっててわざとそう言うと、美咲は真っ赤な顔で俺の胸を両手で押してくる。


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