もうひとつの恋
「でも、今、真面目な話してたのに!」


困ったように必死でそう言う彼女を、俺はもう少しいじめたい衝動にかられた。


「話は終わったでしょ?

一緒に頑張ろうって決めたんだし

ねっ?俺もう我慢できない」


わざとそう言いながら顔を近づけると、美咲が反撃に出た。


「あ、赤ちゃん!

お腹にいるんだよ?

今まだ安定期じゃないし!」


――あ、やべ……そうだった……


いじめるつもりが逆襲にあって、しかももっともな理由にガックリする。

「あ~そうだったよね?

ごめん……」


話の流れでそんなことわかってたはずなのに、男の性とは悲しいものだ。


しょんぼりした俺を可哀想だと思ったんだろうか?


美咲は今まで言ったことないようなことを口走った。


「ごめん……ね?

そんなに楽しみにしてたなんて知らなかったから……

あ、あの、後でベッドで埋め合わせするから……

ダメかな?」


それを聞いて俺の顔は途端に頬が緩んだ。


にんまりしながら美咲の方に向き直ると、俺は言った。


「どんな埋め合わせしてくれるの?」


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