もうひとつの恋
「ちょっ!純!
何よ!その顔ー!」


ムカつく、今のなしなしと言いながら頬っぺたを膨らまして怒る彼女を俺は可愛いと思う。


ずっとずっと歳を重ねても、こんな関係が続けばいい。


新しい命も全部ひっくるめて、守っていきたいと思った。


俺たちの元に無事に出ておいで?


俺はまだ怒ってる美咲のお腹をそっと撫でた。


萌音がお腹にいた頃を思い出して、余計に愛しく感じる。


いつの間にか美咲の手が俺の手に重なって、二人で新しい命を祝福している気分になった。


「これからもさ?

何かあったらこうやって、二人で話し合おうな?」


「うん、そうだね」


「この子が生まれるまで、また何度も不安になると思うけど……

抱え込まないで何でも言ってね?」


「うん、わかった」


そんな会話を繰り返して。


美咲のあまり変わりばえしない返事を聞きながら。


俺たちは穏やかな気持ちになって、生まれてくる赤ん坊に思いを馳せた。












END
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