もうひとつの恋
萌音と花音が眠りについた頃、俺と純ちゃん、それに美咲はリビングに揃って顔を付き合わせていた。


手持ちぶさただった俺は、美咲がいれてくれたアイスコーヒーの氷を、ストローで何度も突っついている。


「で?どうしたんだ?健太」


純ちゃんにそう促されたけれど、どう話していいのかわからない。


「さとみも心配してたよ?

最近、食事もみんなととってないんだって?」


隣に座って心配そうに顔を覗きこむ美咲が、俺の頭をポンポンと叩く。


対面に座っている純ちゃんも眉間に皺を寄せて何か考えてるように見える。


「部長になんか言われたのか?」


親父は純ちゃんの上司だから、部長と呼ぶのがくせになっているらしい。


しかも純ちゃんは親父を上司として慕っていた。


だから言いづらいってわけじゃないけど、なんとなく俺の方が分が悪い気がした。


「別に……なんも言われないけど……」


そう、何か言われた訳じゃない。


俺が四歳のとき、親父はお袋と再婚した。


いわゆる義理の父ってやつだ。


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