もうひとつの恋
ふぅ、やっと昼休みだ。腹減ったなぁ、何食べようか?
そう思いながら、ふと横を見ると、課長が珍しく慌てた様子で上着を羽織っていた。
どうやら外に食べにいくようだ。
俺も便乗しちゃおうかな?と課長に近づき声をかける。
「あれ?課長、外出ですか?」
すると課長はチラッと俺を見ると、バツが悪そうな顔をして答える。
「あっ……あぁ、ちょっと友人が近くまで来てるから、昼は外で食ってくるわ」
友人…て……
まさかこないだの相談相手じゃないだろうな?
そう思いながら、俺はわざと奥さんを思い出させるように言った。
「あ!もしかして奥さんとか?」
課長はよっぽど慌ててるのか、その問いには答えずに、俺から逃げるようにオフィスから飛び出すと、あっという間にエレベーターに飛び乗ってしまった。
ますます怪しい……
課長の行動がどうしても気になって、俺も急いで上着を羽織ると、次に来たエレベーターに乗り込んだ。