もうひとつの恋
自分の思いが実らないことは、百歩譲って仕方ないとしても、彼女には幸せでいてほしかった。


課長が彼女を泣かせるようなことをしなければ、自分の気持ちを抑えることが出来てたのに……


なのに……なんでだよ!


俺は何度も忠告した。


課長はわかってない。


どれだけ自分が愛されてるのかを……


どれだけ守られているのかも……


課長はいつも彼女の愛に包まれて、きっとそれが当たり前だと思ってる。


だから、彼女の変化にも気付かないんだ。


どうにかしたいのにどうにもできないジレンマに俺は苛立つ。


明日からどう課長と接すればいいのかわからなかった。


彼女のためには普通に接しなければならないのはわかっているんだけど……


はぁぁ……と大きくため息をつくと、もやもやする気持ちを振り払って、俺はそのまま眠りについた。



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