もうひとつの恋
あえてその裏にある奥さんやあの相談相手の女性には触れずに、純粋に課長が心配なんだと伝えてみた。


「そう……かな?

俺、そんなに元気ない?」


課長はとぼけて逆に俺に聞き返してくる。


でももしかしたら、自分がおかしいことさえわかってないのかもしれない。


「あきらかに元気ないですよ!

俺は一番課長といる時間が多いから、余計にそう思うのかもしれないですけど……」


そう言うと課長は申し訳なさそうな顔をして、謝ってきた。


「お前にそんなに心配かけてたなんて……悪かったな?

実は最近、よく眠れなくてさ……

確かにあんまり体調は良くはないんだけどな?

気を付けるよ」


素直に謝る課長が少しだけ可哀想になる。


だけど奥さんが出ていったのかどうかが気になって、俺は我慢できずに聞いてしまった。


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