もうひとつの恋
ある日の休日――
結衣と別れて以来、彼女も作らず、ひたすら課長の奥さんだけを思いながら、一年近くも暇な休日を過ごしている。
仲が良かった友達は、みんな次々に結婚してしまい、日曜は家族サービスのため俺に構ってる暇はないようだった。
ボーッとしながら、昨日仕事帰りに借りてきた、アクション物のDVDを見ていると、ふと携帯の着信音が鳴った気がした。
その辺に無造作に置いてあった携帯をチラッと見ると、ランプがチカチカしながら電話が鳴っている。
着信欄を見ると、知らない番号からだった。
誰だろう?
訝しげに思いながら、とりあえず警戒しながら出てみる。
「……はい」
すると聞き覚えのある、愛しい人の声がして、俺は一瞬耳を疑った。
「も、もしもし?
あの……桜井くん?」
間違いない、課長の奥さんだ!
俺は本当に電話をくれたことが嬉しくてテンションが高めになった。