もうひとつの恋
俺はますます納得がいかなくなって、小さい子供のように駄々をこねる。


「できません

課長は奥さんを裏切ったんだ

奥さんがいくら課長が悪くないって言ったって、出ていくようなことをしたのは課長なんですよね?

俺は納得できない」


そう強い口調で課長への不信感を露にすると、彼女は諦めたようにため息をついた。


きっと自分の事情をきちんと説明しなければ、俺が納得しないと思ったんだろう。


彼女は今までの事情をゆっくりと話し始めた。


課長が今、一緒に暮らしてる女性は中学の時の同級生で、バツイチ子持ちだということ。


彼女の相談に乗っているうちに、課長が二人に情が沸いてしまったこと。


何かあるたびに彼女の元へ行こうとする課長を待つのが辛くなってしまったこと。


淡々とそんな過程を話されて、俺は胸が苦しくなっていった。


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