もうひとつの恋
さとみさんに連絡をするって約束をしてから、まだ一週間しか経っていない。
まだ連絡するには早すぎるかどうか、俺は悩んでいた。
あれから、課長には極力普通に接してるつもりだった。
でもぎこちなくなってしまうのは仕方ない。
課長も俺が急にいつもと変わらない態度になったことを不思議に思っているようだった。
そのことを報告するだけでもいいんじゃないか?とも思う。
何かきっかけがないと電話しづらいこともあって、いろいろとシミュレーションしてみる。
どうしても我慢ができなくて彼女の番号を呼び出すと、思いきって通話ボタンを押した。
プルルルル……プルルルル……プルルルル……カチャ
「もしもし?桜井くん?」
この間とは違って、3コール目で電話に出たことにも驚いたが、すぐに俺だとわかってくれたことにはもっと驚いた。