もうひとつの恋
でもそれって話の流れで言うものであって、はい、呼んでみてって言われて言うものじゃないような……


俺が頭の中でグルグル考えていると、さらに追い討ちをかけてくる。


「さとみだよ?名前

覚えてくれた?」


遊ばれてるような気もしたが、仕方なく呼んでみることにした。


「さと……みさん」


小さな声でそう呟くと、さとみさんは無情にも「えっ?」と聞き返してくる。


俺はやけになって、今度ははっきりと声に出して言った。


「さとみさん!」


「はい!よくできました」


嬉しそうにクスクス笑いながらそう言う彼女は、完全に俺を子供扱いしてる。


ガックリしながら、話題を変えようと、課長のことを伝えることにした。


「あの、課長のことなんですけど」


すると彼女は急に真面目な声で返事をする。


「ああ……うん、その後どう?」


「さとみさんに言われた通り、今までと変わらずに接してますよ」


「そっか……ありがとね?」


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