鉛の恋模様


「ちょっと来いよ!」

「ちょ、まっ…痛ててっ」



返事をしなかったのがいけないのか袖で顔を拭う私の腕を男は無理しゃり掴んで自分の方に引っ張り、そのせいで食後のデリケートな腹が机に食い込む。

痛みをアピールしたせいか腕を掴んだままだが引っ張るのはなんとか止めた

だが唾と腹ギリのダブルアタックにより私の機嫌は更に下げ下げなのである。



「何しやがんだ、訴えるぞ貴様」

「腹についてはごめん…」

「唾もな」

「それも謝るから!それより時間もないしとにかく付いて来てってば!」



睨みながら男にそう言えば素直に謝罪しさっきより口調も和らげになる


なんだかあせっている様だし私もそこまで鬼じゃないので、光に説明をしてから目の前の男に仕方なくついて行く事にした



歩いている途中、時間が無いなら放課後にすればいいのにと思ったがヤツは某部活のエースだったなとぼんやり思い出した。




「なぁ、どこに向かうんだ男よ。」

「部室だよ。鍵持ってるし、今は誰もいないだろうしな。後、洋斗って呼べよ」

「お断りします」




そういやそんな名前だった。

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